2週間ほど前に薙刀式を始めた。それについていくつか経緯と推移を記しておこうと思う。
始める前
論理配列はqwertyローマ字(いわゆる普通のローマ字入力)を使っていて、速度としてはe-typingの腕試しレベルチェックで350くらいだった。物理配列、というかキーボードは人に勧められてHHKBのUS配列を使用していた。無刻印じゃなくて普通に刻印してあるやつ。
これまではAutoHotKeyを使ってショートカットキーとホットストリングを多用して生活していた。親指シフトをはじめようとして挫折したことがある。
主な用途
私はTRPGをテキセメインでやっている。その上でキー入力が重要になる場面は2つ。
1つは、テキストセッションそのもの。1回3時間を週に3~4回程度、テキストチャットでセッションをする。必須ではないけど、当然のこととして、入力が早いほうが快適。性質的には「英数外来語混じりの短文」をたくさん入力する。
もう1つは、セッションで使うシナリオの執筆。暇な時間はずっと、次のセッションのための準備をしていて、こっちは性質的には「英数外来語混じりの長文」の入力になる。
日中はまぁ別のこともしてるけど、一旦それはおいておいて……
きっかけ
AutoHotKeyのショートカットの配置に悩んでいたら、フォロワーにレイヤー式のキーボードを使えと煽られたことによる。これがきっかけで論理配列にもいろいろ種類があって、親指シフトよりさらに良いものがあると知った。
以前から入力速度をあげることに興味はあって、e-typingでローマ字入力の練習をしたり、親指シフトに挑もうとして3日で断念したりしていた。自宅以外でキーボードを入力するときに困るのがいやで、くせのある入力を導入することには否定的だったのだけど、AutoHotKeyのショートカットを充実させすぎて、既に自宅以外での入力には困っていたので、もう今更かなという思いもあり、手を出した。
目標
文章を早く、楽に打てるようになること。
特に私の場合、セッションで使うことから、「タイピングの大会ほど全力で入力するわけじゃなく、力を抜いた入力で」「1文~2文程度の短文を」「素早く(具体的にはローマ字入力より早く)」入力できることが第一の目標。
qwertyローマ字でもそこまでの疲れは感じないので、「楽に」はあくまで副次的な目標。
薙刀式を選んだ理由
飛鳥カナ、新下駄、新JIS、月……と論理配列もいろいろあるわけども、そこから薙刀式を選んだ理由。
使ってるキーボードがUS配列だったので、親指シフトや飛鳥カナのようにシフトキーが2つ必要になる配列はまっさきに候補から外れた。でっかいセンターシフトがあるのが理想だった。(そのときの私はまだ中指シフトや薬指シフトなど知る由もなかった。シフトといえば親指だと思っていた。)
あとはいつ消えるかもわからない、そもそも本家なのかミラーなのかもわからないようなサイトや、やたら古くて更新停止してるようなブログからしか拾えないものは避けたかった。親指シフトよりよい「新しい」配列をさがしているのに、「古いサイト」を参照しても仕方ないと思ったからだ。
その点薙刀式は最新版(v15)が去年出たばかりのようだし、センターシフトだしで良さそうだったので、とりあえず触ってみることにした。
薙刀式を始めてから
Day1~Day7
教本があることに感動した。感謝しつつ、教本に沿って練習を進める。
フォロワーからは狂人の手記のようだと言われた。まぁまだ50音すら全部入力できてないからね……
この時点で、かな入力の快適さのようなものの片鱗を味わった。特に薙刀式はいろいろと工夫されているだけあって、「単語単位での」入力のしやすさを感じた。あと日本語を入力する以上変換の度に打つことになるenterがホームポジションで打てるのはいいなと思った。
一方で、元々「縦書きで小説向け」でデザインされている薙刀式において特にその色が濃い「編集モード」には馴染めなかった。ので、この段階で色々と弄り始めた。
Day8~Day10
とりあえず一通りのかなを覚えたので、速度を測りたくなり、タイピングサイトを訪れる。monkeytypeというサイトがローマ字に縛られず入力が出来たので、そこで測定してみた。
1分に8単語打てたよ! やったね!
……このペースじゃまだ使い物にはならないので、数日の間、monkeytypeで練習したり、twitterでゆっくりつぶやいたりして練習したりした。
Day11~Day14
一方で、使ってるといろいろと弄ってみたくなるものだ。私は以前からAZIKに興味があり、そこで取り上げられている二重母音の拡張を薙刀式に導入できないかなどと考え、色々試してみた。また、「です」「ます」などの頻出する語句は3キー同時押しで呼び出せるようにした。「編集モード」という名称についても、編集という感じではなくなってきたのと、固有名詞ショートカットとまとめて扱いたかったので、まとめて「拡張入力」と呼び始めた。
あとは私の使ってるロウスタッガードのキーボードだと「B」がやたら遠くてあまりいい位置だと思えなかったので「T」と入れ替えたり……
とにかく、入力速度をあげていく一方で、配列そのものも結構いじっていった。
Day15~
だんだんと入力速度が上がってくる。まだまだ目標とする早さには程遠いものの、とりあえず実用できるくらいの速度には達し始める。
すると不思議なことに、自分で拡張した入力が邪魔になってきた。2文字以上のショートカットは入力に成功したことを認識するのに一瞬時間がかかって手が止まるし、2文字を3キーでショートカットするくらいなら普通に2文字入力したほうがテンボが乱れなくていい。結果として、二重母音の拡張も、「です」「ます」のショートカットも必要なくなった。
やはり時間を掛けて開発してるだけあって薙刀式はすぐれており、余計な「工夫」などする必要はなかったのだ……と痛感した。
一方で、それでも現行の薙刀式への不満はあった。具体的には、
- 編集モードのレイアウトや機能が私の感覚とは合わない。
- ロウスタッガードで「B」は遠い。
- 頻出する「ゆ」(特に「ゅう」の形で出る)がP裏は押しづらい。
- 中指下段は意外と押しづらい。「は」「ん」はもっと押しやすい位置にほしい。
- 「あり」「おり」の形で頻出する「り」は単打側にほしい。
- 私は変換の度にenterを押すので、enterの優先度はBSより高い。
- 日本語と英数でenterとBSの動作は同じにしたい。
- 外来語を多用するので、外来音も2キーで出したい。
- 半角英数を文章に混ぜるので、IMEのON/OFFは単打でほしい。
などである。
それを反映して、現在使用している配列は以下
これに加えて、日英両方で「R+U」にBSを設定した。更にAutoHotKeyで
RAlt::RWin RWin::Enter LWin::BS RShift::vkF3
を設定している。また、外来音は2キーで設定した。(v14以前に戻した形になるのか?)
変更に際して主に考えていたのは、
- 文章を書くうえで一拍置く「、」「。」は2キーである必要はない。3キーで呼び出してもテンポは崩れない。
- 「。」と「!」「?」の入力には一貫性(類似性)がほしい。
- ロウスタッガードで「B」は遠い。
などである。これによって「、」「。」が入っていた面を開けることで小指や薬指の裏面を減らし、BSを親指(または同時押し)に振ることで、空いた単打に「り」を出した。他にも私の感覚に合わせていくつかのキーの位置を変えている。
今後
とりあえず変換前基準で150cpmくらいまで速度を上げてからこの先どうするかは判断する。速度を考えるならqwertyローマ字の高速化の方向で考えて、拡張AZIKやローナという手もあるか……? などとも思う。
あと薙刀式についても、自分で変えた部分については、元のほうが優れてると感じたら戻すかも。